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新井 栄揮; 米澤 悌*; 岡崎 伸生*; 松本 富美子*; 柴崎 千枝; 清水 瑠美; 山田 貢*; 安達 基泰; 玉田 太郎; 河本 正秀*; et al.
Acta Crystallographica Section D, 71(3), p.541 - 554, 2015/03
被引用回数:7 パーセンタイル:50.54(Biochemical Research Methods)蛋白質を利用した希少・有害金属捕集材料の研究開発の一環として、中度好塩菌Chromohalobacter sp.560由来・高酸性-Lactamase(HaBLA)のX線結晶構造を解明するとともに、X線異常分散測定により、HaBLA分子上のCs, Sr結合部位の抽出を試みた。PFのNW3AにてHaBLAのX線結晶構造を解明した後、Cs吸収端(=2.175)近傍のX線を利用できるSAGA-LSのBL7やPFのBL17A、及び、Sr吸収端(=0.770)近傍のX線を利用できるSPring-8のBL38B1やPFのBL5Aなどを使用して、HaBLA分子に結合したCs及びSrを同定した。その結果、HaBLA分子上に少なくとも1ヶ所のCs結合部位、3ヶ所のSr結合部位を発見した。特に、今回発見したCs結合部位は、NaがCsの9倍量存在する条件下(Na/Cs = 90mM/10mM)でもCsを選択的に結合できることが明らかになった。このCs選択的結合部位は、Trp側鎖のベンゼン環によるカチオン-相互作用、および、主鎖の2つの酸素原子によってCsを結合していた。本研究で得たCs結合部位の立体構造情報は、原発事故によって放出された放射性Csを捕集する蛋白質材料の設計(人工的Cs結合部位の設計)の土台として利用できる。